非財務情報、サステナビリティ情報の開示要求が増えた理由の一つに会社の評価において帳簿価値と市場価値の乖離が大きくなってきていることが挙げられます。その乖離は会社が有する無形資産が増えてきていることが一つの原因と言われています。かつては帳簿に計上されている有形資産が会社の評価において重要な要素でありました。しかし、あるリサーチによると1975年当時S&P500の価値の17%だった無形資産が2015年には84%まで増えたそうです。無形資産を有する会社の例としてGoogle, Facebookなどがいい例かと思います。知的財産、顧客関係、ブランドバリュー、蓄積されたデータなどの無形資産によって市場価値が成り立っている状況では従来の財務諸表から得られる企業の情報が非常に少なくなってきます。なぜなら、財務会計では人材、天然資源など将来の企業価値を創造するものであっても財務諸表において資産として計上されていないからです。この点についてはFASBも認識をしています。合理的な投資家は非財務情報が開示されることによって、帳簿と市場価値の乖離を分析することが可能になり、より精緻に市場価値の妥当性の検証が可能になります。それにより合理的な投資家は情報に基づいた意思決定をすることが可能になります。つまり、サステナビリティ情報を投資家に向けて適切に開示しないことは株主訴訟等のリスクが増えることになります。会社側は財務諸表と同じプロセスでサステナビリティ情報の開示の作成が必要になることを理解しておいた方が良いかと思います。
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